2.ねこのきょうだい
むかしむかしのおはなし。 どれほどむかしかわすれてしまうくらい、むかしのおはなし。 このくにでは、みんなかぞくでした。 そらをとぶとりも、はやくはしるうまも、みんなみんなかぞくでした。 そのなかでも、ねこは、とくになかよしでした。 なぜなら、ねこはみんなとおはなしができたのです。 とりやうまもおはなしはできましたが、おはなしできるのはおじいちゃんやおばあちゃんだけでした。 けれども、ねこはみんながおはなしができたのです。 だから、ねこは、とくになかよしでした。 かぞくのなかでも、ねこはきょうだいのようなものでした。 ながいあいだ、ひととねこは、いろんなおはなしをしたりして、すごしていました。 ときには、ひとがなやんでいることを、ねこがおもいついたことでかいけつすることもありました。 そんなあるひ、いそがしそうなひとをみて、ねこがいいました。 「やあきょうだい、たいへんそうだね。なにかてつだおうか?」 それをきいて、ひとはほほえみながらかえしました。 「ありがとうきょうだい。でも、えんりょしておくよ」 ねこは、すこしかなしくなりました。 きみたちはものをもてないし、たってあるくこともできないので、むりだよ。といわれたきがしたのです。 だからねこは、ものをもつことからはじめました。これは、もつだけなら、けっこうかんたんでした。 つぎに、あるくこと。ずっとはちょっとたいへんだけど、たってあるくのも、むりではありませんでした。 ねこは、ながいじかんをかけて、たってあるいたり、ものをもてるようになったのです。 そして、あいかわらずいそがしそうなひとをみて、ねこはいいました。 「やあきょうだい、たいへんそうだね。これをはこべばいいのかい?」 ひとは、うしろあしだけでたち、にもつをもつねこにおどろきました。 でも、すぐににっこりとわらい、いいました。 「ありがとうきょうだい。それじゃあ、いっしょについてきておくれ」 こうして、ひととねこは、いっしょにおしごとをするようになりました。 ひとはねこにてつだってもらい、そうして、いろんなものがかわっていきました。 それから、ほんとうにいろんなものがかわりましたが、ひととねこのかんけいは、かわりませんでした。 いまでは、みんなみんなかぞくということを、すっかりわすれてしまっているひともたくさんいます。 それでも、ひととねこのかんけいは、ずっとずっとかわりませんでした。 きっと、これからもこのかんけいは、ずっとずっとかわらないでしょう。 ひととねこは、きょうだいなのだから。 |