1.玄霧猫
『ほんとうにいろんなものがかわりましたが、ひととねこのかんけいは、かわりませんでした。』
「ねこのきょうだい」より抜粋。
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玄霧藩国のとある一軒家。
大きすぎるわけでもないが、小さくもない、平凡な構えの家。
窓際には大きな猫、ベッドには横になった子供、そして、本を読み聞かせる母親。
子供はまだまだ遊び足りないという様子だが、絵本の内容も気になるようで、ベットのなかでそわそわとしている。
そんな親子を横目で見ながら、絵本の物語を聞いていた猫が眼を細める。
その物語は、昔々の話。
猫と人間の話を書いた、絵本だった。
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