ふかく、ふかく、くらい、あな。
せかいのおわりをふせぐために、NW中からあつまった、大ぜいの人が、めいきゅうにいどみます。
そこには、なんでももち上げられる力もちがいました。
どんな小さなものも見のがさないするどい目をもった人がいました。
なんでも知ってるものしりなど、いろいろな人がいました。
そしてもちろん、ほう石のわく泉で見つけた短けんをお守りがわりにもった、じょり丸もいました。
ほねっこでまつはんおう様のかわりにさんかするのです。なさけないところはみせられません。
まわりはみんな人間ばかりですが、じょり丸はむねを張ってすすみました。国のみんなの分も、がんばろうと思っていたのです。
みんなは力を合わせて先へ先へとすすみます。
めいきゅうはふかく、くらく、どこまでもつづいているかのようでした。
すすむさきには、まものやわなが、それはたくさん、かぞえ切れないほどまち受けていました。
たびのなかまたちは、すこしずつめいきゅうをすすんでいきます。
それでも苦しいたたかいが、いつおわるともなく、つづくなか、いつからか
ーー地の国の宝剣があれば。
こんなことばがなかまたちの間でささやかれるようになりました。
じょり丸は、みみをピンと立てました。
ーーけんならあるよ、ここにも、ほら!
せいいっぱいむねを張って、お守りの短けんをしめします。
そのとき、短けんがキラリと光りました。
みんなおどろいて、おおきな剣を見にきました。
ーー大きさを自在に変える剣だ。魔法の剣に違いない。
ーーこれは霊剣だ。ダンジョンを攻略する力になってくれるだろう。
おおきな剣はおおきくて、じょり丸も、はむはむするだけで、はこべません。
そこでみんなはうなずいて、じょり丸を手伝うことにしたのです。
おおきな剣をみんなでもって、じょり丸と一緒にならんであるきはじめました。
けれどその足が、止まってしまいます。
どうしたのでしょう。じょり丸は、わん、とないて、前に出ました。
そこにはおおきなかべがありました。行き止まりだったのです。
「どうしよう?」
「戻る?」
「でも他に道なんてあったっけ?」
みんな、うーん、うーんと、考えます。
じょり丸も、壁をかりかりとひっかいてから、くぅーんと考えました。
ーー迷宮に持っていくのなら、お守り代わりにするといい。くわえたままでは、何かと不便だろうからね。
ーーああ、それと。
「わん!」
ーー困ったことがあったらなら、素直に困ったと言って、頼ってみなさい。
じょり丸はくるくると回ってからふりかえりました。
ああでもない、こうでもないとなやむみんなが、みえました。
とても大変そうです。
なのでじょり丸はおおきくなった剣に近づいていきました。
ーー道がふさがっています。とても困ってしいました。
剣はしずかに、なにもかもをうけとめるように、ちんもくしています。
じょり丸はくぅんとないて、心の中でつぶやきました。
お願いします。助けてください、と。
そうしてぺこりと頭を下げたじょり丸の足下を、じょり丸も気づかないうちに、何かがはしっていきました。
小さな地の精霊たちが、いきどまりのかべに、むかっていきます。
ふいに、大きなおとがしました。
はなしこえもとまり、おどろいてふりかえれば、がらがらとかべがくずれていって、奥の道があらわれたのです。
ぐうぜんでしょうか。こううんでしょうか。
ふしぎにおもうひと、くびをかしげるひと、よろこぶひと、いろんなひとがたくさんいました。
そして、また、みちを進みはじめました。
じょり丸は、みんなに持ち上げられたおおきな剣を見上げます。
わん、とお礼を言いました。
>次章へ進む