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学校紹介

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『藩国の食品加工技術は共和国でも高い水準を誇るでしょう』
『しかし、です。日々を生きるうえで、手料理というものは欠かせません』
『特に、子供達にはそう言ったものが重要です』
『興味がある方は、どうでしょう。私達と一緒に学びませんか?』

                            30110102 玄霧弦耶、料理教室完成の際の言葉。


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T16も終わり、T17になる頃。玄霧藩国に、新たな施設が建造された。

『玄霧藩国料理教室』

その名の通り、料理について教える教室である。
ただ、この教室は普通の料理教室と違い、実技だけではなく、医食同源の考えから食事も予防医学の一環とし、食育を通じて

「食」に対する理解や知識を増やす場でもあった。

とはいうが、実はこの施設はそんなに大きくない。精々が『大きなの一軒家』程度である。
それというのも、藩国内でこういった分野に詳しい人間はそんなに多くない。
また、この教室の真の目的は、料理を通じての国民と藩王や摂政といったPL達との交流にあった。
そのため、数人のスタッフと、協力してくれる数少ない国民達で回る規模の大きさになった。と言うわけなのだ。

しかし、規模は小さいが、中身はなかなかに充実している。
教室が開くのは授業二回の実技二回で週に四回。
一週間で一つ〜二つの料理の作り方と、食材の旬や見分け方等が判るような授業内容になっている。
そうして、和食洋食中華を組みあわせ、学ぶほうも楽しく過ごせるように授業が進められていく。

このお料理教室は、出たい授業に申請をだす『事前登録制』となっている。
参加したい週と作ってみたい料理の確認をとった後、一週間分の料金(材料費込み)を支払い、登録したら後は当日に通うだけ、である。
機材や材料などは、全て教室側で準備してくれるというわけだ。

また、一月のうちに3週は『和・洋・中』でおおよそ決まっているが、それでは4週目が余ってしまう。
これはどうするかというと、作りたい料理がどうしてもかみ合わない人たちの為の週であり、授業と実技が一緒になった一日分の料金のコースに当てるのだ。
主にちょっとした料理や簡単なデザートなどを学ぶ人は、一日で終わるこちらのコースを選ぶことも多い。
むしろこちらのほうが人気で、抽選に外れる人も出ているようだ。



さて、このお料理教室。
授業で説明する事柄には様々な理念を参考にしている。


例えば、『身土不二』という言葉がある。
仏教用語で「身」(今までの行為の結果=正報)と、「土」(身がよりどころにしている環境=依報)は切り離せない、とい
う意味である。
これを転じて、食養運動のスローガンとして「地元の旬の食品や伝統食が身体に良い。」という意味として使われている。

科学的根拠から言えば「旬の食材は栄養価が高い」などと言えるが、この場合はこう言いたい。
『気候、風土、土地。そこで育った人は、そこで育った食べ物と共に生きる』
同じ土地で生まれたものは、同じ成分でできてるから、より馴染むのだと。


例えば、『食育』という言葉がある。
「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること、とされている。
生きるための基本的な知識であり、単なる料理教育ではなく、食に対する心構えや栄養学、伝統的な食文化についての総合的な教育のことである。

だが、ここはもっともらしい言葉を用いて説明するより、こう説明したいと思う。
『美味しくて体にいいものを食べることができれば、人は健やかに育つ』
そういう、簡単なことでいいだろう。


例えば、『医食同源』という言葉がある。
元は薬食同源思想から作られた造語である。適切な食事を取ることによる予防医学の一種であり、薬膳による食の医療作用を表現している。
五行思想における「木 火 土 金 水」に対応した「酸 苦 甘 辛 鹹(塩辛さ)」の五味と「熱 温 平 涼 寒」の五気。
五味や五気にあわせた五畜(馬 羊 牛 鶏 豚)、五果(李※スモモ 杏 棗 桃 栗)、五穀(麻 麦 稲 黍※キビ 大豆)、五菜(韭※ニラ 薤※ラッキョウ 葵※オクラ等 葱 カク※豆の葉)。
#カクは本来、漢字が存在しますが、常用漢字ではないため出力ができませんでした
さらにそれらを取ることで「肝 心 脾 肺 腎」の五臓が満たされると古くから言われている医学でもある。

iku_5.jpg ただ、そんな小難しい理論より、こっちのほうがいいだろう。
『食べ合わせのいい物を使って料理をすれば、より美味しい』
料理は楽しく食べる事ができてこそ、美味しいのだ。難しい話はこの際二の次だ。


これらの考えや教えを基礎とし、玄霧以下のスタッフ一同は、難しくなりすぎない程度で「食の大切さ」と「料理の楽しさ」を生徒に教えている。
そして、料理実習を通じて共同作業を行なうことで、お互いの理解を深め、より良い藩国運営の参考にすると共に、国民同士の理解も深める事も狙いとしていた。

この試みが実を結ぶのは遠い先かもしれない。
だが、実を結んだとき、それはきっと、素晴らしいものになっているだろう。

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