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【玄霧藩国に建設された巨大図書館。藩国に古くからある塔を模して設計された】

順に説明してゆこう。

まず、『情報の集積』について。
この部分は今までの使い方とほぼ同じである。違う部分といえば、通信方法と情報を保存する形態となる。
瞑想通信防御網では、大規模かつ組織的な運用を行うため、瞑想通信を行っている人々に負荷が起きないように、連絡は一方通行になるようにしている。
今までの通信で使っている樹木に水晶振り子をたらし、紙に文字を魔術的に書き写すことにより、通信負荷を防ぐ事に成功している。
水晶振り子は複数設置され、紙に情報が書き写される際には送信場所と送信代表者の名前が入るため、同時に通信が入った際の混線も対処可能である。
但し、情報が複数のページに及ぶ際は、人力で整理する必要がある。そのほか、紙のままではなく、定期的に書物の形に直す必要もある。

イメージとしては前出の通り、伝言板やチャットを思い浮かべてくれればよい。
リアルタイムでやり取りをするよりはラグもロスもあるが、安全と耐久性を想定した結果、こうなった。

また、この方法で運用するに到って、各国に通信所相当のものを建て、通信用の樹木の育成と、通信員として瞑想通信に必要な人員(最低限必要な10人の補佐・交代もこめ、30人)を送る必要がある。
この問題は、通信所兼診察所として、玄霧藩の誇る医師を全国規模で活動させることを条件に、共和国・帝国の垣根を越えて各国に了承をもらっている。
送られた人員には、毎日の定時連絡の義務と、報告以外での守秘義務がある事以外、平時は診療所としての責務を全うしている限り、特に活動の決まりはない。
戦時は勿論、別途指示が行くわけである。


次に、『情報の保存』について。
これについては、情報を書物の形で保管するに当たり、玄霧藩国に瞑想通信用の樹木を利用した巨大図書館を建設し、その中に各国からの情報を始め、集められた情報に重要度別ランクをつけ、保存する事となった。
各国に設置された通信所件診療所での保管に関しては、一定期間の保存の後、その場所に残す必要のないものは処分せずに巨大図書館へ送る事となっている。
送られた書物は、巨大図書館で定期的に情報の整理を行う際にまとめて整理される。なお、まとめられた書物が破棄されることはほぼ無い。
保管場所が足りなくなった場合は、別館を建築することで対処する予定である。

なお、巨大図書館という以上、一般の書物も広く集め、通常の図書館としての利用も可能とする。
これに伴い、通信のための人員のほか、情報整理のための人員や司書としての人員も広く募集されることになる。

余談ではあるが、前出の通信用樹木と水晶振り子は、発信・受信時に淡く発光する。
これは通信を受けた際に確認しやすくするものであり、西国、森国など、国の傾向別で色が分けられている。
その上で水晶振り子に異なる音色の鈴をつけ、音と色でいち早くどこからの情報かを判別できるようになっている。
この光と音は日中では診療所内でもなければ殆ど気づかないが、日が落ち、夜の帳が下りれば外からも確認でき、美しいイルミネーションのようにも見える。
特に、玄霧藩国の巨大図書館には情報が集まることから、定時報告の時間ともなれば様々な色の光と鈴の音が合わさり、とても幻想的な風景が映し出されるだろう。
勿論の事、鈴の音と光の加減は不快なものにならぬように調整済みである。


そして、『高物理記録媒体のバックアップ』について。
これが、瞑想通信防御網のある意味での肝の一つである。
高物理での記録媒体であるPC等に保存された情報は、物理域の変動などで容易に消滅する。
バックアップを別に用意するとしても、物理域変動ではそれもまとめて消滅する可能性が高い。
この問題を解決する方法として、高物理で保存されている情報を、越前藩の全面協力の下、フェアリーを介して瞑想通信防御網に情報を落とし込み、巨大図書館に保管する計画が立てられた。

この際のフェアリーの役目は、高物理と低物理の架け橋である。
電子情報と人間の言語の両方を解するフェアリーという存在は、願ってもいない協力者であった。
フェアリーの存在と越前藩の 「ある程度の耐久性がある媒体への保管をしたい」という要請もあり、現在は文殊のデータを移送しているところである。
※この場合、フェアリー側は瞑想通信関係に直接接続するのではなく、単純に会話等でデータを提示するだけで、魔術的な接触は一切ない。

この計画だが、統括責任者である賢者(役職名)とフェアリーの協力の下、総勢1000名ほどが協力しつつ、少しずつデータを保存するわけなのだが、どじっこなフェアリーや、文殊というかなりの情報量を誇るデータバンクのバックアップのため、長い期間が必要になるとされている。
おそらく、瞑想通信防御網が各国で正常稼動を始めても、暫くの間はこの作業は続くだろう。
その上、全てが完了しても定期的な更新はどうしても必要になるので、おそらく半永久的に続く仕事になりうるのだ。

ちなみに。
この計画がうまくいった際には、他国のデータバックアップを受け持ったりすることも視野に入れられている。
勿論、作業力の許す範囲で、という条件がつくが。

これらが、付属させる新機能である。
新機能といっても使い方をちょっと変えただけであるが、だからこそ、不必要な爆発や問題が起こらないと想定される。
さらに、組織的運用による『最新情報の共有』が可能となることで、医療カルテの共有等による医療網の充実や、ISSへの有力情報の提供など、多くのメリットが生まれるのである。
『高物理情報網の補間』としての使い方も可能であり、物理域変動でネットワークそのものが使えない状態をはじめ、どうしても情報戦を仕掛けられたくない場合や、複数のラインでの情報送信を行いたいなどの理由での使用も出来る。

その他にも、組織的運用については次の段階の構想もある。
瞑想通信防御網より得た情報を元に、効率的に活動できる部隊編成など、まだまだ可能性は果てしない。


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以上が、解説となる。
ここまで読んで聡明な方は既にお気づきだろうが、【瞑想通信防御網】は、名前こそ壮大だが、実態は【低物理で使える情報通信ネットワークの整備】である。
そして、この瞑想通信防御網には瞑想通信以外の技術は使われていない。
データのバックアップに関して越前藩のフェアリーの協力は受けているものの、それも越前藩では古くからある技術である。
瞑想通信防御網において、これ以上の技術が使用されることも、使用する予定も、おそらくあるまい。

そもそも、NWには有益な技術が山のように存在する。
新しい技術を求め常に進歩することは良いことであるが、古い技術も角度を変えればまだまだ使い道がある。
そういった風潮が生まれれば、これ以上のことは無い。
願わくば全国に、こういった思想が浸透することを願う。

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